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about

おじちゃん、パンっておいしいの?
この言葉が全ての始まりでした。
パンを食べたことがないというその4-5歳くらいの少年は、兄妹が楽しそうにパンを選ぶ中、お母さんの足にしがみつきギュッと唇を噛んでいました。
焼きたてのパンに見向きもしないでうつむいている少年に、私はしゃがんで声をかけてみました。
「こんにちは!」
それに対する返事が、冒頭の言葉でした。
お母さんとお話ししてみると、極度のアレルギーでパンが食べられない、とのこと。
「すごくいい匂いがする、どうしても入ってみたい!というので、絶対に触らないって約束をして、今日は初めて店内に連れて入ったんです」
欲しくなるのが可哀想だから、普段は連れてこないんですけどね、と笑うお母さん。
ああ、と思いました。
兄妹が美味しそうに食べているものを、自分だけが食べられない。
とってもいい匂いがするパンを、どんなにか食べてみたかったんだろうな。
パンを食べる兄妹の笑顔は、どんなにか眩しく見えるんだろうな。
匂いだけでもいいから、とお母さんにせがんで入ってきた店内でも
やっぱり楽しそうに自分の好きなパンを選ぶ兄妹が眩しくて
うつむいて我慢するしかなかったんだな…。
そう思って、どんな言葉をかけようと思案していた私より早くスタッフが
「この人がどうにかしてくれますよ、お母さん!」
と言っていました。
*****
あの子に『みんな一緒』に美味しいパンを食べる喜びを味あわせてあげたい。
私はどうしても、あの子にみんなと同じパンを一緒に食べる喜びをプレゼントしたくなったのです。
2週間こもりっきりで研究し、アレルゲンを極力排除したメロンパンとクリームパンを作り上げました。
一番最初にその子にパンを渡したときの反応で、私がしたかったことはこれなんだと、確信を持てました。
アレルゲンを可能な限り排除した、美味しいパンをみんなに届けたい。
それが私の信念になりました。
みんなで食卓を囲み同じ食べ物を分かち合う喜びを、アレルギーのせいで諦めなければならない現状をなんとかしたい。
アレルギー対応パンを専門にするなんて無謀すぎる、世の中にはアレルギーがない人の方が多いのだから売れなくなる、という反対意見もありました。
でも私の心には、初めてパンを受け取ってくれた、あの子の笑顔がありました。
この笑顔をどんどん増やしたい。日本中にいるアレルギーのためにパン食を諦めている子どもたちに笑顔と喜びを届けたい。
そんな気持ちで、毎日パンを焼いています。
実店舗だけだと届けられる範囲がどうしても限られます。
ですのでこの度、日本中の方々にお届けできる通信販売を始めることになりました。
1人でも多くのアレルギーを持っているお子さんに「みんな一緒」に美味しいパンを食べることの喜びを味わってもらえますよう、美味しいパンを美味しい状態でお届けすることにこだわった通販です。
あなたの食卓にも「みんな一緒」の笑顔の花が咲きますように。